里の水車”

■解説
児島虎次郎(1881-1929)は、岡山県上郡下原村(現在の成羽町)の出身。 東京美術学校在学中から援助を受けていた大原孫三郎の後援により、1908(明治41)年から5年間ヨーロッパに留学し、ベルギー印象派の画風を身につけました。 大正後期にも、2度ヨーロッパに渡り、今日の大原コレクションの中核をなす作品を収集しました。
「里の水車」は、美術学校卒業後、ヨーロッパ留学前に描かれた作品。外光を逆光として取り入れ、明暗を生かした構図となっています。

■エピソード
児島は、東京美術学校研究科在学中に、2点の作品を東京府勧業博覧会の美術展に出品しました。 そのうちの1点「里の水車」は入選。もう1点「なさけの庭」は1等賞を受け、明治天皇の皇后陛下がお気に召されて、当時の宮内省お買い上げとなりました。 この作品は今も、宮内庁三の丸尚蔵館に収められています。
受賞のお祝いとして、児島は、大原孫三郎から5年間のヨーロッパ留学を許されます。 驚くべきことに、児島はそのときすでにフランス語の「読み」「書き」「会話」がすべてできたといいます。 美術学校を通常なら4年かかるところを飛び級して2年で卒業、さらに研究科にすすみました。いっぽうで、夜間中学へも通いフランス語の勉強をしていたのです。
その努力とまじめさをもって、児島がヨーロッパで本物の西洋絵画を学び、さらに「日本にいる画家たちの勉強のために、本物の西洋絵画を買ってほしい」と孫三郎に進言したことが、のちに大原美術館設立へとつながる名画の収集活動のはじまりとなったのです。

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