ホドラー

木を伐る人

■解説
フェルディナント・ホドラー(1853-1918)は、スイスの首都ベルンに生まれました。 貧しい家庭に育ち、幼少期に、あいついで父母、兄弟を病気で失いました。この経験は、彼につねに死を意識させることになりました。 その後の作品にも、死の影が色濃く感じられます。
看板描きの仕事をへて、ホドラーは19歳のとき、ジュネーヴの美術学校の校長に見出され美術学校で学びました。 1878年から1879年にかけては、スペインに旅行し、明るい色彩を用いるようになりました。 こうして彼は絵を身につけ、みずからの個性をおしだして、独自の画風を開花させました。 ホドラーの人物群像や風景画は、左右対称の構図や平行線を強調した構図など、整然としつつも強いイメージをもっているのが特徴です。
代表作「夜」(1890年、ベルン美術館蔵)をフランスの壁画家ピュヴィス・ド・シャヴァンヌに評価されたころから、 彼は象徴主義の画家として、国際的に活躍の場をひろげ、多くの壁画や歴史画を残しました。
この「木を伐る人」は、1907年、ホドラーがスイスの国立銀行から紙幣のデザインを依頼されたときに、 構想を練るために描かれた作品のひとつ。白地の背景に、木を伐る男性、木、空を暗示する水色がバランスよく配置されています。 このシンプルな構図によって、力強く木を伐る行為そのものが強調されているのです。


(参考文献)
「ホドラー展」図録 (朝日新聞東京本社企画部) 1975


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