
■解説
ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ(1824-1898)は、19世紀後半のフランスで壁画装飾家として活躍しました。
シャヴァンヌはリヨンの名家に生まれ。病気療養のためにおとずれたイタリアで、ルネサンス期のフレスコ画などを見て、感銘をうけ、画家の道をすすみました。
パリでサロン系の画家のアトリエで修行するいっぽう、ドラクロワのダイナミックな作風にもひかれています。
1850年、シャヴァンヌはサロンにデビューします。しかし、その後8年間は連続して落選するなど、サロンではその評判は必ずしもかんばしくありませんでした。
当時、パリでは、ナポレオン3世の政策によって、市の大改造が始まっており、さまざまな公共建築の建造がすすんでいました。それらの建造物の内部は、大規模な壁画で装飾されていました。
シャヴァンヌにも、1861年のアミアン美術館を皮切りに、つぎつぎと壁画装飾の依頼がまいこむようになります。単純化された形と象徴的な図像、安定した構図は、ゴーギャン、セザンヌなどの画家たちにも影響をあたえました。
この「幻想」は、女流彫刻家クロード・ヴィニョンの邸宅のために描かれた4点の装飾画のひとつです。翼をひろげたペガサスは想像力の象徴です。
女性がその首に植物のつるをかけようとしています。白い彫像のような人物像を効果的に配置した構成によって、永遠の静けさがかもし出されています。